ディープインパクトありがとう

なぜかオカネが…

ありがとうインパクト! ラストランに臨んだディープインパクト(牡4、栗東池江泰郎)が3馬身差をつけて圧勝し、有終の美を飾った。騎乗した武豊騎手(37)は90年オグリキャップ以来16年ぶりの勝利を挙げ、愛馬との別れを惜しんだ。2着にはポップロック、3着にはダイワメジャーが入った。 万感の思いを胸に飛んだ。逃げるアドマイヤメインがつくり出した激流は、ディープインパクトにとって最高のエネルギー源となった。12万人近くの大観衆が見守る中、ひたすらため込む気持ちを解き放ったのは残り600メートルだ。後方から一気に前をのみ込もうと、進撃を開始。あん上の武豊騎手は、その感触を体に刻み込んだ。 われ先にと内へ殺到する2番手グループを尻目に、馬場のど真ん中で見せた堂々のラストフライト。誰にも邪魔されない広大なスペースで、440キロに満たない体を思い切り伸ばした。1年前の有馬記念で、よもやの2着。無念にくれたターフを舞台に、記録にも記憶にも残る日本最強馬が、最後までインパクトスタイルを貫いた。 「ディープ!」「ユタカ!」「ありがとう!」。天才と怪物のコンビを、スタンドの大合唱が迎えた。「すべてのレースに強烈な思い出がある。いつも驚かされるが、今日は本当に強かった。強烈な飛びだった。4コーナーを回る時の脚はすごかった」。武は興奮気味にまくし立てた。「彼は種牡馬生活に入るが(今年失格した)凱旋門賞だけ現役復帰できないんですかね」。半分は冗談でも、半分は本気。「今でも世界一強いと思っている」と本音は隠さなかった。 武は「この2年間は、ずっとディープインパクトが頭の中にあった。こういう馬は初めて」と振り返る。それは、苦悩の2年間でもあった。「走りたがる気持ちが強すぎて苦労した。本当に難しい馬」。加えて、勝利だけを義務付けられていた。敗北は許されなかった。「常に責任感があった。こんなに考えさせられたことはなかった」。 競馬が行われる国のどこから騎乗依頼があっても、すぐに乗れるように世界中の血統の研究は欠かさない。「まぁ、それが仕事だからね」と笑いながら米、英、仏、豪と世界中で馬に乗ってきた。その中で、インパクトに出会った。「ディープインパクトに乗れるのは光栄。でも責任がある」。超一流馬に乗れる権利と引き換えに、常勝という重荷を背負っていた。 最終レース後に行われた引退式で、武は感無量だった。「ディープにおめでとうと言うのも、これで最後。あと、ありがとうも…。ディープの子どもに早く乗りたいね。ディープは最強馬です」。2年間にわたって信頼関係を築いた愛馬から下りる時には、その首筋にそっとキスをした。 「走っているというより飛んでいるような感じ」。語り継がれる武の名言は、閉塞(へいそく)した現代へ一筋の光を与えた。自ら命を絶った子供は「生まれ変わったらディープインパクトになりたい」とつづった。その走りを目にし、歴史の証人になったこと。その走りに胸を打たれ、涙したこと。すべては希望となり、力となった。ディープインパクトの名前は、決して忘れられることはないだろう。

昨日の有馬記念ライブで見たり聞いたりすることはできなかったんだけど、
レース自体は見ましたよ。
有馬記念をこれだけ強い勝ち方するなんて初めて見ました。
私的にはこんな強い馬と同じ時代に生きることができて幸せです。